1993年から1994年にかけて放送された『NHKスペシャル 驚異の小宇宙・人体2 脳と心』全6回シリーズの最終回。当時までの大脳生理学の知見をもとに芸術的な創造性や、宗教的神秘体験などに焦点を当て考察したドキュメンタリー番組。
語り口は壮大で、石器時代から現代に至る意識の芽生えから精神の深化までの歩みを、考古学から人類学に、民族学から宗教学に、具体的にはアメリカ西海岸のドラックカルチャーに各国のシャーマンのメディテーションに、アウトサイダー的芸術家の活動に、果ては一般人の修験道の修行体験ツアーなどを交えながら、人間精神の奥ひだに分け入り語り尽くそうと試みられています。中でも沖縄のユタの来歴と神ダーリの関係性に、その歌と脳波との関連性などは必見ものです。
ネアンデルタール人を現生人類と同根の祖のように語ったり、右脳・左脳レベルで人間精神を語る粗い大脳生理学的知見など時代を感じさせる部分もありますが、古今東西の神秘主義的世界をこれ程までに深く見据えたドキュメンタリー番組はちょっと他に例を見ないと思います(あったらごめんなさい)。
おそらくは<オウム真理教事件>前だったからNHKでもこんなことが可能であった、そんなオトグスおすすめの一枚です。
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