出版社: Penguin Books 1986年刊
191頁 , 図版多数 , 内カラー多数 , 25.4×21.5cm
ソフトカバー , 英語
その多くはゴシップ大好きタブロイド紙に掲載されていた、どこか変なんだけれども人々の記憶からは直ぐに消え去ってしまうようなどうでもいい「真実の物語」を、デヴィッド・バーン自らがストーリーテラーとなってテキサスは架空の町ヴァージルに集いし人々の日常へと転嫁し濃厚なビジュアルと音楽で絡め綴られた一篇。
CBGBの時代からMTVの時代を経て、その類稀な自己プロデュース力でもって音楽家にして優れたパフォーマーでもあって、映像クリエーターとしても独自のスタンスで活躍してきたデヴィッド・バーンが満を期して制作し見事に失敗した長編映画。
デヴィッド・バーン自らも、その映像化を始めるにあたってウィリアム・エグルストンや、その他の写真家の「ザッツ・アメリカン」なイメージを参照し構築していったと語っていますが、おそらくは現代アメリカ社会の歪を増幅させたような滑稽でおかしな面々の日常を通奏低音とし、それら写真家の作品に代表されるような「ザッツ・アメリカン」なイメージを映像を通して俯瞰して見せようとしたのが本作ではなかろうかと思うのですが、ですがです。映像は動いて「なんぼ」の世界で、確固たるイメージを紡ぐ写真とは近いようで遠い存在なのです。もっと言えば物語るものでもなければ、演劇的空間の複製物でもないのです。映像独自の領域というものが存在していて、そこへの目配せの有無が、結果的に映像独自のカタルシスの有無につながるのだと思います。
振り返って『トゥルー・ストーリー』は「ザッツ・アメリカン」なイメージの構築に引っ張られ過ぎて映像独自のカタルシス領域への目配せが疎かになった、デヴィッド・バーンの才能をもってしても退屈なものになっちゃうんだよと妙に誰かに諭されたような気分が味わえる、そんな反面教師的オトグスおすすめの一作です。(オトグス・ショップDVD説明文)
本書はビジュアルイメージの基となったウィリアム・エグルストンを始めレン・ジェンシェル、マーク・リプソンらの写真に、デヴィッド・バーン自らのロケハン写真、それに絵コンテやデザイン画に本編のカットを交えて綴られたビジュアル本。こちらもオトグスおすすめです。
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