出版社: Worth Press 2011年刊
256頁 , 図版多数 , 内カラー多数 , 26.3×26.2cm
ハードカバー , 英語
「精神病者の創造性」という枠組みで必ずと言って良いほどに取り上げられるルイス・ウェイン。このヴィクトリア朝後期からエドワード朝にかけて活躍したイギリス人イラストレーターの全体像を、300を超える図版と詳細なバイオグラフィーを付し取りまとめた良書。
オトグス・スタッフも色々と探しました。今までに出版されたその殆どが病前の表舞台で描かれた可愛い子猫ちゃんの作品に終始したものばかりであったのに対し、本書は「カレイドスコープ・キャット」と形容される統合失調症発病後の作品をもバランス良く配し紹介する稀有な一冊です。
ちなみにこちら『Zwischen Wahn Und Wirklichkeit』(OTOGUSU LINK)で紹介されています超有名な作品群 - ルイス・ウェインの入院先であった王立ベスレム病院の付属博物館所有の、眩い幻視・幻覚から始まり、そこへ空間恐怖と離人症がないまぜとなって、最後は精神の荒廃へと向かうというあの一連の「精神病者の創造性」を語る上で周知な、あまりにもステレオタイプに過ぎる作品群 - は収録されていませんが、その代わりに、悪く言えば中途半端な、良く言えばそれが故に「そんなステレオタイプな創造性なんざあ存在しねえやい!」ということを改めて分からせてくれるアンニュイ作品群を多数愛でることができます。
後、ルイス・ウェインがデザインした陶器のペン立てなども紹介されていたりと、その表紙からでは窺い知れないオトグスおすすめの一冊です。