Yves Tanguy イヴ・タンギー

Katharina Schmidt (編集) カタリナ・シュミット

型番:boay002_2

 

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著者:  Katharina Schmidt (編集) カタリナ・シュミット
出版社:  Prestel 1982年刊
280頁 , 図版265 , 内カラー66 , 22.6×28cm
ハードカバー , ドイツ語
コンディション:  VG/VG
  ※ジャケット全体に軽くスレあり。本体の天に少し汚れとシミあり。それ以外のコンディションは:F
1982年から83年にかけてドイツで行われたイヴ・タンギーの大規模な回顧展に合わせ刊行された、初期から晩年までの主要作品にドローイングとバイオグラフィーを絡め包括的に取りまとめた一冊。
  解き放たれた精神が見るであろう心像風景の投影というロマン主義的課題に、自らを霊媒と化し愚直なまでに挑み続けた男イヴ・タンギー。ブルトンが想い描いた桃源郷に自ら乗っかり、モンドリアンやマレーヴィッチのように自然が秘め持つ <秘数> にその根拠を求めることもなく、ダリのように <キッチュの鎧> を身にまとい派手に立ち回ることもなく、シュルレアリスムの根幹をなす <オートマティスム> の技法を用いて、その不可能性に挑み続けた男イヴ・タンギー。
  後にジャクソン・ポロックが <何を描くか> から <どのように描くか> のパラダイムシフトの末に生み出した <アクション・ペインティング> の果てに見出そうとした不可能の世界と、奇しくも、同じ <横山ノック型> 頭髪の持ち主でアルコール中毒者でもあったイヴ・タンギーが、その余りにも古風な <風景画のプロット> の中に描き出そうとしたもの共々が、何ものも表象することのない純然たる心像風景の物質化という <西欧的不可能の命題> を実践しようとした結果の産物ではなかろうかとオトグス的には考えていたりなんかします。そしてオトグスは、そんな作品を生み出した愚直で不器用な <健さんタイプ (高倉健 参照) > の人々が好きです。ですから当然、本書もおすすめの一冊となります。